鈴木貴男戦の後は、日本No.2の本村剛一選手の登場だ。本日最後のシングルス、相手はアメリカのM・フィッシュ。どんな選手か?私には予備知識が全くない。
それにしても時折聞こえる、このコロシアム全体を揺るがすような『ゴーオォォー』という地響きは・・・外の風が気になる。戦後最大級という鳴り物入りの『台風21号』の真っ只中なのか?
そんな私の心配も、選手登場による拍手にかき消されて、試合は開始された。
最初こそダブルフォルトを連発したフィッシュだが、サーブはかなり早い。剛一も去年の全日本選手権と比べると、かなりサーブが早くなっているように感じられる。
お互いキープでなかなか均衡が崩れない。剛一から始まったサーブにより、絶えず剛一がリードしてはいるが、4−4、5−4、終盤はやっとキープしている感じになってきた。
大丈夫か剛一!5−4、剛一リードで迎えた10ゲーム目のフィッシュのサーブを、最後の最後でブレークに成功。
ラケットを思いっきりコートに叩きつけるフィッシュ。理想的な試合展開となった。
6−4で剛一が先行した。
観客が静まると、なんともいえない、会場全体からうなりのような響きが聞こえてくる。
『そうだ。外は台風なんだ。電車は動いているのだろうか。』思わず現実に引き戻されてしまった。
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今日の剛一は、第一セットを見る限り危なげない試合をしている。・・・が2セットの立ち上がり、いきなり0−40の大ピンチ。しかし、粘り強い剛一の本領発揮だ。ひっくり返してキープしてしまった。貴男に続き、ビッグチャンスをものにできるか。
試合は均衡が破れずお互いキープの3−2。コートチェンジ時に上着を着替える剛一だが、ビックリした。鍛え上げられた肉体!まさに、亀の甲のように6ブロックに分かれた盛り上がった腹筋。格闘技の選手のようだった。
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フィッシュも順調にキープし3−3からの第7ゲーム。剛一のサーブだ。フィッシュに先行され、15−40のまたもや大ピンチ。30−40、1本挽回。次はサービスエース。剛一粘る、追いついた。
長い長いデュースが続く。何回続いただろうか、剛一は珍しくサービス&ボレーにうって出た。決まった。スコアは4−3,4−4,5−4,5−5,6−5,6−6。ついにタイブレークに突入してしまった。
タイブレークは剛一からのサーブだが、なかなか均衡が崩れない。1−0,1−1,1−2,2−2、3−2,3−3、3−4,4−4、スコアは4−5ついにミニブレークされてしまった。しかしすぐにブレークし5−5並んだ。5−6,6−6、高まる緊張感、凄い展開になってきた。
7−6,7−7,7−8,7−9。ついに力尽きてしまった。しかし、惜しい・本当に惜しい。後1本だったのに。言い知れぬ虚脱感とともに、『あーぁ遅くなるな、外の台風は・・・』と脳裏に帰りの電車のことが駆け巡ってしまった。
あと一歩で・・・勝利を逃してしまった剛一はどんな心境なのだろう?
フィッシュのサーブで始まった第3セット、お互いキープし2−3からの第6ゲーム。剛一はサーブを落としてしまった。大きく口を開け、肩で息をする剛一選手。後はもう食い下がる気力も、また体力も残っていなかった。あっけなく終盤を迎え、スコアは2−6。
全ては、『タイブレークでの1本』であったと思った。
次回は鈴木貴男選手の2回戦・3回戦です
乞うご期待!
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