■鈴木貴男(ATP231位)VS ヤン・ヘルニハ(チェコ:ATP83位) 7-6(4),3-6,7-5
今日の2回戦の相手は、チェコのヤン・ヘルニハ。聞いたことがない選手だが、100位以内だ。きっと手強いぞ。それにしても、男子も女子もチェコの選手が多い。ここ数年でロシア勢が台頭してきたが、チェコもブレークする予感がする。
有明に到着した時は既に試合も始まり、スコアは2−2だった。暫らくして3−3の40−15、貴男リードの時である。『キューッ』というシューズの滑る音がしたかと思うと、ヘルニハが倒れこんでいた。
何が起こったんだろう?倒れこむ瞬間を見てなかった。暫らくして、捻挫した事を理解した。
『おいおい、このまま棄権してしまうのか。貴男が勝つのは嬉しいけど、もっと試合が観たいよ』
ヘルニハは倒れこんだまま、立ち上がれない。相当痛そうだ。
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ヘルニハはメディカルタイムアウトを取り、トレーナーが出てきた。何なんかやってるが良く分からない。このまま続行できるかどうか、選手の意思を確認してるのか、結構長い時間だ。暫らくして、主審から、『3分のインジュリータイムを取ります』とのアナウンスがあった。
10分以上中断しただろうか、試合再開だ。ヘルニハの動きは悪くない。あまり影響ないのか?
多少のらりくらりといった感じだ。
5−5から、遂に貴男がブレーク6−5だ。その調子で突っ走れ!遠慮する必要はないぞ。しかし、ヘルニハはのらりくらり、これも作戦か。40−15でリードしていた貴男だが、ブレークを許してしまった。またもや6−6タイブレークに突入!
タイブレークでの貴男は、滅法強い。サービスを中心に試合を組み立てるプレースタイルだからだろう。心の中では『しめしめ、またタイブレークだ。貴男の目の覚めるようなサーブでヘルニハは沈没だ』と思わずにはいられない。
果たして、前半は1−3とリードを許した貴男だが、最後はきっちりと逆転、サービスでポイントを取り7−4でタイブレークを制した。貴男の”雄叫び”左胸を右こぶしで叩く。いつものパターンだが、雄叫びは今年のAIG OPENでは初めてだ。59分の1セットだった。
2セット目は、相手が貴男のサーブに慣れたのか、それとも貴男の悪い癖が出てしまったのか、全くキープできない。試合は淡白で、結局キープは1度だけで、3−6で落としてしまった。
さー、問題は3セット目だ。
3セット目も2セット目からの流れか、キープできない。あっというまに0−3だ。嫌な空気が会場を支配している。やっとキープして1−3とするが、ヘルニハもキープして1−4。
あ〜ぁ絶体絶命!先行逃げ切りがパターンの貴男。早くブレークしないと、ますます苦しくなるぞ。6ゲーム目、簡単にキープして、2−4。この流れに乗って遂にブレーク3−4だ。
8ゲーム目、貴男のサーブの時に突然会場から貴男コールが『タカオ、チャッチャッチャ、タカオ、チャッチャッチャ、タカオ、チャッチャッチャ』鳴り止まない。
審判の『プリーズ』という制止があってやっと試合が再開された。
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ポイントのたびに起こる『貴男コール』。会場の大応援団に後押しされて、大逆転7−5で勝った。コートにひっくり返り喜びを表わす貴男だが、異様なほど会場が一体化し、その中で自分も一体化していることに気付き、なんともいえない興奮に包まれ、陶酔した。
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